「お父さん、きょうも屋根のうえのしごと?」
朝ごはんの味噌汁を飲みながら、娘がそう聞いてくる。
私は笑って「うん、今日はね、学校のそばの現場だから、もしかしたら屋根から手を振れるかもよ」と返す。
そんなやりとりから始まる、岩手・花巻での一日。
都会のように高層ビルや華やかなネオンがなくても、ここには家族との時間と、地元に役立つ仕事が隣り合う生き方がある。
私は、板金職人として働いている。
この記事では、都会の暮らしに少し息苦しさを感じている人、家族との時間や働きがいを見つめ直したいと考えている人へ、私たちの暮らしと仕事をリアルにお届けしたい。
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1. 1日の始まりにあるもの ― 家族の時間と田舎の風景
朝6時半。
まだうっすらと霜の残る道を歩いて、近所の神社まで軽くストレッチ。
春になれば鳥の声がにぎやかになり、畑に植えられた苗たちが風に揺れている。
朝食は炊きたてのご飯と、妻のつくる味噌汁。テーブルには、娘が幼稚園で描いた「おとうさん」の似顔絵が飾られている。
「行ってきます」
車で家を出てから現場までは、20分ほど。信号も少なく、渋滞もない。
車の窓をあけて流れてくるのは、田んぼを渡る風の音と、ふもとの町で始まる朝の気配だ。
都会での通勤は、仕事の前に体力を削られる時間だった。
ここでは、通勤そのものが深呼吸のように心を整えてくれる。
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2. 現場での仕事 ― 屋根の上から見える風景
「よし、いこうか」
ヘルメットをかぶり、工具を腰に巻く。
私たちの職場は、屋根の上。
住宅や施設、時には学校や集会所など、地域の建物の“最後の仕上げ”を任されることもある。
現場によって作業は違う。
軒先の水切りの取り付けから、下葺きのルーフィング、ハゼ締めや折り返しまで、ひとつとして同じ屋根はない。
でも、どの現場でも共通しているのは、屋根の下には、誰かの暮らしがあるということ。
先日施工したのは、ご夫婦二人暮らしの木造住宅だった。
「冬に雪がたまっても安心できるように」と希望され、断熱材を増やし、傾斜を調整。
施工後、「これで雪の音も静かで、安心して眠れそうです」と微笑んでもらえたとき、
私はあらためて、仕事の成果が人の安心と笑顔につながるという意味を思い出した。
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3. 職人たちのチームワーク ― 支え合うことが技術になる
現場には、若手もいれば、経験30年以上のベテランもいる。
けれど私たちにとって、年齢や立場はあまり関係ない。
最初に任された現場で、寸法を間違えて部材を加工してしまったときのこと。
「すみません……」とうつむく私に、先輩はこう言った。
「いいよ。間違いが起きるってことは、ちゃんとやろうとしてた証拠だ。次は、いっしょに測ってみよう。」
こうして“怒られなかった経験”が、続ける勇気になった。
今では、私が後輩に道具の名前や折り曲げのコツを教えることもある。
休憩時間には、趣味の釣りの話や、子どもの運動会の話をする。
仕事だけじゃない、“人としてのつながり”がある職場だから、現場がスムーズに進む。
これは大げさでも理想論でもなく、屋根の上で実際に感じる日常だ。
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4. 家族と過ごす時間 ― 仕事が暮らしの一部になる場所
午後5時を過ぎ、片付けと点検を終えるころ、空が淡いピンクとオレンジに染まっている。
屋根の上から見える夕陽を眺めると、不思議とその日の疲れがスッと引いていく。
車に乗って帰宅する頃には、娘の声がLINEのメッセージで届く。
「パパ、おつかれさま!今日、お月さま見えそうだよ」
そんな他愛もない一言が、心の芯に温かく届く。
夕飯は、家族と囲む食卓。
魚が焼ける匂い、みそ汁の湯気、笑い声。
「きょう、どんなおうちの屋根だったの?」「またあのおうちの犬見た?」
そう聞いてくる子どもたちに、現場での話をする。
こうして家族の日常と、職人としての仕事がつながっていく。
仕事は人生の一部であって、全てではない。
でも、“誰のために働いているのか”が分かる場所では、仕事が人生を豊かにしてくれる。
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5. 職人という生き方 ― 経験を、技術として刻む
屋根は、毎日ちょっとずつ覚えていく。
最初は道具の名前、次は素材の種類、それから折りの精度、止水の工夫、耐久性の調整。
季節や立地、お客様の希望によって判断が変わるから、正解がひとつではないという難しさと面白さがある。
ある日の新人研修で、講師役の職長がこう言った。
「屋根ってな、“考えながら手を動かす”っていう、すごい仕事なんだよ」
図面を読む力、現場を見る力、施工の工夫。
そして何より、人の暮らしを想像する力。
私たち職人は、決して無口なだけじゃない。
伝えようとする“背中”を持っているからこそ、技術は次の世代に引き継がれていく。
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6. 地域とともに未来をつくる ― 誰かの暮らしと、町の風景と
冬。
大雪のあと、緊急出動で屋根の点検に向かった現場で、
「去年も来てくれたんだよな、ほんとに助かったよ」と感謝の声をもらった。
夏。
地元の高校生が職場見学に訪れ、屋根葺きの体験に目を輝かせていた。
秋。
収穫祭のテント設営を手伝いながら、子どもたちとふれあい、
「屋根のおじちゃん、また来てね!」と手を振られた。
屋根の仕事は、ただの建設ではない。地域の人と、時間と、暮らしに寄り添うもの。
鎌田鈑金工業では、そうした地域との縁を大切にしながら、
誠実で丁寧な仕事を積み重ねてきた。
そしてこれからは、次の世代と一緒に、
「屋根の上からまちを守る」という生き方をつなげていきたいと思っている。
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7. 最後に ― あなたと働きたい理由
都会のスピードに合わせて頑張ってきたけど、
ふと「こんなに急がなくてもいいのに」と思ったことはありませんか?
仕事に追われて、大切な人との時間を後回しにしていませんか?
もし、
• 手に職をつけたい
• 家族との時間を大事にしたい
• 誰かの役に立つ仕事がしたい
と思ったなら、岩手・花巻という選択肢を、鎌田鈑金工業という場所を、
ひとつの“きっかけ”として、考えてみてください。
私たちは、あなたと一緒に屋根の上からまちを支え、笑顔のある未来をつくりたいと思っています。
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